1万円の収入増より1万円の支出減の方が価値がある2つの理由
「ケチケチして1万円の節約をするぐらいなら、1万円収入を増やした方がいい」と言う人がいます。
収入を増やせるなら増やした方がいいのは間違いないでしょう。
でも、1万円の収入増と1万円の支出減の価値は同じではありません。
普通に働いて収入を得ている人であれば、1万円の支出減の方が価値があります。
収入+1万円 < 支出-1万円
その理由は、この国の様々な制度にあります。
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収入には税金などがかかる
納税は国民の三大義務の一つであることは皆さんご存じでしょう。
収入があるかぎり、税金から逃れることはできません。
わたしたちの収入に対してどれくらい税金がかかっているのか、以下の設定で話を進めます。
Aさん
・会社員(営業職)
・30歳
・独身
・額面年収480万円(毎月40万円、各種手当なし、ボーナスなし)
・東京23区在住で勤務先も都内
・給料以外の収入は無し
・基礎控除以外の控除は無し
・前年も年齢以外は全く同じ
通勤手当もボーナスも無いのかいっ!と突っ込みたいところですが、計算しやすい設定にさせてもらいましたので、ご容赦ください。
Aさんの毎月の給料は40万円です。
しかし、税金等が天引きされるため、口座に振り込まれるのは約31万円です。
天引きされる9万円の内訳は次のようになっています。
・所得税 約1.2万円
・住民税 約1.9万円
毎月結構な額を納めていることが分かります。
40万円のうちの9万円ですので、次の計算で割合を出すことができます。
9÷40=0.225
つまりAさんは額面給与の22.5%を税金などで天引きされ、実際に使えるのは残りの77.5%のみということになります。
1つ目の理由
ここで、タイトルの「1万円の収入増と支出減」に戻りたいと思います。
Aさんが昇給で月給が1万円増えたとします。
しかし、実際にAさんが受け取る時には税金等で22.5%が引かれるので、7,750円にしかなりません。(厳密に言うと違いますがご容赦ください。)
一方でAさんが固定費を見直して毎月1万円の支出削減をしたとします。
その浮いた1万円はそのままAさんの財布か口座に残ります。
もしAさんが手取りを1万円増やしたいのなら、
X×0.775=1万円
↓
X=1万円÷0.775=12903.2…
約1.3万円額面給与を増やす必要があります。
これが、1万円の収入増より1万円の支出減の方が価値がある理由の1つです。
言い方を変えるならば、税引き前の1万円より税引き後の1万円の方が価値があるということです。
考えてみれば当然のことですね。
ちなみに日本は累進課税制度を採っていますので、収入が増えるほど税などの負担が大きくなります。
Aさんと同じ条件で、収入のみ変えた場合の手取りや負担額は以下の表のようになります。
一番右の欄の税等負担割合を見れば、収入増加とともに負担割合も上がっているのが分かります。
ということは、高収入の人ほど税引き前の1万円の価値が低くなり、相対的に税引き後の1万円の価値が高くなります。
そして、見方によっては高収入の人ほど支出削減の効果が高いとも言えます。
もう1つの理由
1万円の収入増より1万円の支出減の方が価値がある理由は、税金だけではありません。
所得に応じて支給の有無または金額が決まる給付や控除などがあります。
真っ先に思いつくのが児童手当です。
児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に児童一人あたり1万円~1.5万円が給付される制度です。
我が家もその恩恵を受けています。
ただ、これも所得が増えると支給額が減額になることがあります。
扶養親族等の数が3人の場合は、所得が736万円を超えると給付額が一律0.5万円となってしまいます。
他にも高等学校等就学支援金制度、高額療養費制度、住宅ローン減税、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、公営住宅の入居資格などが挙げられます。
これらには所得や収入の制限があり、収入が上がると給付が受けられなかったり、負担が増えたりすることがあります。
実際、ご主人の扶養の範囲内に留まるために勤務時間をセーブしているパートさんも多くいます。
撤回はされたものの、最初に発表されたコロナ対策の給付金30万円も世帯収入が判定基準でした。
まとめ
以上2点が、「1万円の収入増より1万円の支出減の方が価値がある2つの理由」です。
今の日本の制度では、収入が増えれば増えるほど様々な負担も重くなってきます。
ただ、負担を重くしたくないから収入を下げるようなことは本末転倒です。
税制を見ながら多少調整することはあっても、基本的には収入を増やせるのなら増やしていくべきでしょう。
収入を増やしていきながらも、支出を定期的に見直しムダなところは削減していくのがベストです。
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