スマネジ

スマネジ

低年収でも貯金できる!4児の父がお金の賢いやりくり(Smart Management)を目指して奮闘中!

民間の医療保険加入前に知っておくべき高額療養費制度

医療保険制度は国によって様々です。

デンマークのように医療費が無料の国もあれば、アメリカのように医療費が高く保険未加入者が多い国もあります。

日本は1961年より国民皆保険(こくみんかいほけん)制度を取っているので、国民全員に健康保険への加入義務があります。

 

給与明細を見て「保険料が高い!」と不満に思うことも多いかもしれませんが、この保険制度のおかげで医療費の自己負担額は1割~3割ですみます。

実際に使う時にはとてもありがたい制度です。

  

f:id:tkmmkrm:20200525165421p:plain

 

さらに日本では、入院などで医療費が高額になった際に負担を軽減する制度があります。

それが高額療養費制度です。

 

 

いくらから高額療養費制度の対象になるのか

 

高額療養費制度の対象となる上限額は年齢所得医療費によって異なります。

 

f:id:tkmmkrm:20200525114856p:plain

 

f:id:tkmmkrm:20200525114813p:plain

 参照:厚生労働省HP

 

この上限額の式の中にある医療費というのは3割の自己負担額ではなく、医療費そのもの(10割)の金額です。

限度額そのものは医療費によって変動してしまうのですが、高額療養費の対象になるかどうかは簡単に見分けることができます。

 

69歳以下で適用区分が(ウ)年収約370万円~約770万円の場合を例に計算してみます。

 

80,100円 +(総医療費 - 267,000円)× 1%

 

という式の最初の80,100円というのは総医療費から引く267,000円の3割です。

仮に総医療費が267,000円だった場合、3割の自己負担額が80,100円ということになり、式は以下のようになります。

 

80,100円 +(267,000 - 267,000円)× 1% = 80,100円 + 0円 × 1% = 80,100円

 

この式の答えが80,100円を下回る場合は高額療養費制度の対象になりません。

80,100円でも自己負担額と限度額が同一なので対象にならず、80,100円を超えると対象になることがわかります。

 

167,400円は558,000円の3割、252,600円は842,000円の3割ですので、高額療養費制度の対象になる額は以下の表のようになります。

 

f:id:tkmmkrm:20200526080240p:plain

 

適用区分が(ア)(イ)(ウ)の場合でもとりあえず「式のあたまの数字を超えたら高額療養費制度の対象」と覚えておけば大丈夫です。

これは70歳以上で現役並みの収入がある人も同様です。

 

あと、高額療養費制度には多数該当という措置があります。

これは、過去1年以内(過去12か月以内)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合に4回目以降の月の自己負担額が引き下げられる措置で、上限額は半額程度になります。

 

 

入院は月をまたぐと負担が増える

 

高額療養費の上限額はひと月(1日~末日)ごとに見ます。

月をまたいで入院した場合はそれぞれの月で計算するので、自己負担額も高くなります。

 

先ほどと同じく、69歳以下で適用区分が(ウ)年収約370万円~約770万円の場合を例に2つのパターンで自己負担額を計算してみます。

 

パターン①

4/11~4/30に入院 20日間入院、医療費(3割)計30万円

 

3割負担の医療費が30万円なので、総医療費は100万円だとわかります。

これを式に当てはめると、以下のようになります。

 

80,100円 +(1,000,000円 - 267,000円)× 1% = 87,430円

 

自己負担額は87,430円です。

 

パターン②

4/21~5/10に入院 20日間入院、医療費(3割)は毎月15万円で計30万円

 

3割負担の医療費が月15万円なので、月の総医療費は50万円だとわかります。

これを式に当てはめると、以下のようになります。

 

4月分 80,100円 +(500,000円 - 267,000円)× 1% = 82,430円

5月分 80,100円 +(500,000円 - 267,000円)× 1% = 82,430円

82,430円 + 82,430円 = 164,860円

 

自己負担額は164,860円です。

 

同じ入院日数で同じ医療費にもかかわらず、自己負担額はパターン①は87,430円、パターン②が164,860円と、77,430円もの差がついてしまいました。

 

緊急でない入院はできるかぎり、月をまたがないようにした方がおトクだとわかりますね。

 

 

自己負担額は世帯で合算できる 

 

高額療養費制度の自己負担額は世帯内での合算が可能です。

ただ、ここで言う世帯とは加入している被保険者とその被扶養者のことを指していますので、夫婦でもそれぞれ別個の健康保険に加入している場合は別世帯と見なされます。

 

69歳以下の場合には自己負担額が21,000円以上のものが合算対象になります。

医療機関ごと(同じ医療機関でも医科と歯科、入院と外来はわける)に計算し、1ヶ月の自己負担額が21,000円以上になったもののみが合算の対象です。

 

 

立て替えなくて済む方法もある

 

高額療養費制度の適用を受ける場合でも、以前はいったん病院窓口で立て替えたものを後日申請して払い戻しを受ける方法しかありませんでした。

しかし今は限度額適用認定証を提示することで、最初から病院での支払いが自己負担分のみで済むようになりました。

 

f:id:tkmmkrm:20200525163556p:plain

 

今でも立て替えはできますが、実際に払い戻されるまで数ヶ月かかりますし、申請も手間なので、入院や手術などで医療費が高額になりそうだとわかったら、とりあえず限度額適用認定証を申請しておきましょう。

費用は掛かりませんし、医療費が安く済んで使用しなかったとしても特に問題はありません。

 

申請先は国民健康保険の場合は役所、協会けんぽの場合は協会の各都道府県支部健康保険組合の場合は組合の窓口です。

 

また、限度額適用認定証には有効期限があります。

有効期限は発行者によって1年だったり、3か月だったり異なります。

長期にわたって医療費が高額になった場合には、有効期限に気を付けてください。

 

 

対象外のものもある

 

高額療養費制度の対象になる医療費=病院の窓口で支払った金額ではありません。

入院時の食費負担、差額ベッド(個室)代、先進医療、自由診療は対象外です。

 

f:id:tkmmkrm:20200525163531p:plain

 

もちろん、交通費や駐車料金、入院中に使用したテレビカードなども対象外です。

 

 

 

 高額療養費制度を理解した上で不足分を民間の保険で補おう

 

民間の医療保険は、公的医療保険では足りない部分をカバーするために加入するのが一般的です。

 

公的医療保険の内容を知らないことには、どのような医療保険に加入したらよいのか分かるわけもありません。

これを考慮せず加入すると、保障が足りなかったり、反対に重複してしまったりします。

 

保険は基本的には損をしますので、公的医療保険制度をよく理解した上で足りない部分だけ加入するようにしましょう。

 

 

 

 

smart-management.hatenablog.jp

smart-management.hatenablog.jp