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低年収でも貯金できる!4児の父がお金の賢いやりくり(Smart Management)を目指して奮闘中!

老齢年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給の損益分岐点は何歳?

現在40代のわたしたち夫婦が老後にもらえる老齢年金は、今の年金制度だと65歳からの予定です。

ですが、個々の状況に合わせて年金を受け取り時期を早めたり遅らせたりすることができます。

 

これが、年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給です。

 

 

年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給

 

年金の受け取り開始時期は、本来受け取る時期の前後5年の中で変更することが可能です。

わたしたち夫婦のように本来65歳から年金受け取り開始の人は、受け取り開始時期を60歳から70歳の間で月単位で選ぶことができます。

 

前倒しで早く受け取り始めることを繰り上げ受給、後ろ倒しで遅く受け取り始めることを繰り下げ受給と言います。

 

繰り上げ受給をすると1ヶ月につき0.5%年金が減額されます。

5年(60か月)繰り上げると、本来の年金額から30%が減額されることになります。

 

逆に、繰り下げ受給をすると1ヶ月につき0.7%年金が増額されます。

5年(60ヶ月)繰り下げると、本来の年金額から42%が増額されることになります。

 

ちなみに、これは現行での話で2022年4月以降は繰り上げ受給の減額率は0.5%から0.4%に、繰り下げ可能期間は5年から10年に変更されますが、今回はすべて現行の制度を元に書いていきます。

 

 

損益分岐点は何歳?

 

繰り上げ受給と繰り下げ受給をした場合、何歳で総受取額が逆転するのかを見てみます。

 

条件:本来の年金受給年齢は65歳で年金額100万円

 

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・5年(60ヶ月)繰り上げた場合

60歳から毎年70万円(100万円の70%)を受給するので、64歳までの5年間に受け取る年金総額は350万円になります。

65歳から100万円受給し始めると毎年30万円(100万円-70万円)ずつその差が埋まっていくので、64歳までに受け取った350万円の差を埋めるのには12年弱かかります。

つまり65歳+12年弱の76歳後半が分岐点(上の図の黄色の箇所)で、77歳前に亡くなるのなら繰り上げ受給をした方が年金の総受取額は多くなります。

 

・5年(60ヶ月)繰り下げた場合

70歳まで受給しないので、65歳から受給した場合に比べて69歳までの5年間で500万円の差があります。

70歳から142万円(100万円の142%)を受給するので、毎年42万円(142万円-100万円)ずつ差が埋まっていき、12年後に総受取額は逆転します。

82歳以上生きるのなら、5年間繰り下げ受給した方が年金の総受取額は多いです。

 

 

注意点

 

繰り上げ受給と繰り下げ受給には注意点があります。

 

・繰り上げ受給をすると他の年金を受け取れないことがある

繰り上げ受給をした後に障害状態になっても、基本的には障害年金の対象外となります。

65歳前に配偶者が亡くなると65歳までは繰上げ受給の老齢年金と遺族年金のどちらかしか受け取れません。

また、繰り上げ受給をすると寡婦年金を受け取ることもできなくなります。

 

・繰り下げ受給をしても加給年金や振替加算は増額されない

繰り下げ受給を選択しても、加給年金や振替加算分は増額されません。

繰り下げて年金が支給されない期間は、加給年金や振替加算を受け取ることもできません。

 

・所得が高くなれば税金や健康保険料等も高くなる

繰り下げ受給で年金額が増えると所得も増えるので、税金や健康保険料が高くなる可能性があります。

医療費の自己負担割合が高くなる場合もあります。

 

・遺族年金の計算には無関係

夫が亡くなって妻が遺族年金を受け取ることになっても、夫の65歳時の年金額を基準に計算するので、繰り上げ受給や繰り下げ受給をしていても年金額は変わりません。

 

 

まとめ

 

年金額が減ってしまい、他の年金も対象外になってしまう繰り上げ受給は極力避けた方がよさそうです。

一方の繰り下げ受給も、税負担等が増えるデメリットがあります。

 

年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給は、手続き後に変更することはできません。

損得だけを基準に考えるのではなく、その時の仕事、家族、資産の状況などを踏まえて慎重に判断していきましょう。